入れ歯は抜け落ちた歯を補います。歯が1本でも抜けている状態はそこの部分だけではなく歯全体に影響を及ぼします。インプラントを除く通常の入れ歯は取り外し可能で日々の洗浄などご自身で手入れをする必要があります。また保険適用内で予算に負担がないものを選ぶこともできますが、予算だけにとらわれてしまうと食事も楽しく食べることが出来ず、その後のリペアなどで余計にお金がかかってしまいストレスがたまる結果となる可能性もあります。保険適用のものでも自費のものでも、患者様のライフスタイルに合わせて信頼できる歯科医と相談の上、できる限り長く付き合える入れ歯を見つけることが大切です。

入れ歯の種類

入れ歯は上顎に密着させる部分あるいは歯の土台となる床部分(義歯床)と、入れ歯を固定したり歯をつなぐためのバネ、バー、人口歯から出来ています。使用する素材によってそれぞれメリットデメリットがあります。

1-1 床部分

床部分にはプラスチックでできたものと金属でできたものがあります。

〇プラスチック(レジン床)の特徴
一般的に保険適用になり安価ですが使用する材料やデザインにも制限があります。加工や調整がしやすく物によっては金属床よりも軽いです。熱の伝え割りが弱く、変形しやすく破損しやすいので頑丈に仕上げようとすると厚みがかかり更に熱が伝わりにくくなります。

〇金属の特徴
丈夫で薄く加工することができ、変形しにくいため口の中を圧迫しません。熱が伝わりやすいので食事も楽しむことができます。プラスチックより調整が難しく、保険適用にならないので高額になる。(ただし、総入れ歯の場合には治療費の一部が保険適用になる場合もございますので歯科医に相談してください)

コバルトクローム合金は昔から使われている素材です。他の金属より安価で軽量です。チタン合金は体内に馴染みやすく金属アレルギーの心配が少ないです。とても比重が小さいために軽くてお口に負担のかからない入れ歯が出来ます。味覚や熱が伝わりやすいため食事も楽しめます。

1-2 アタッチメント義歯

一般的な入れ歯はバネで固定するのですが不安定なこともあり目立つことから、アタッチメントと呼ぶ方法で安定感を高め、目立たなくさせることもできます。アタッチメント法は自費治療となります。

〇スマートデンチャー
弾力性のあるプラスチック樹脂をバネ代わりに使用します。見た目が自然になります。ただし隣接する歯がある場合に設置できます。

〇ソフトプレートデンチャー
入れ歯が歯茎に密着する部分により柔軟性の高いプラスチック素材で加工することで、歯茎にかかる痛みや負担が軽減されます。

〇マルチコン義歯
入れ歯と新設する歯を精密に組み合わせることでしっかりと固定ができて安定感に優れています。着脱をロック式にすることも可能です。隣接する歯がある場合に設置できます。

〇コーヌス義歯
コーヌスクローネ義歯、コーヌステレスコープ、茶筒式義歯などの呼び方もあり、角度をつけた2種構造でできた冠(内冠)を土台となる歯に嵌めます。入れ歯の内側にも角度を合わせた冠(外冠)を作ります。茶筒のような構造で引っかかることなくしっかりと固定され、安定性に優れています。隣接する歯がある場合に設置できます。

〇磁性アタッチメント義歯
土台となる歯に取り付けた金属と入れ歯に着いた強力な磁石で固定します。見た目にも良く、シンプルな構造のために手入れが簡単に済みます。また耐久性にも優れており長期間壊れることなく性能を維持します。基本設置には土台となる歯が必要になりますが、歯の根だけでも設置可能な場合もありますので歯科医にご相談ください。